医学部生のポリクリ(臨床実習)レポート 京大附属病院「精神科神経科」
京都大学 S.Iさん
イレクティブ実習とは
京都大学の医学部医学科では、内科系・外科系に分類された診療科7科を3週間単位で回った後、それ以外に分類された診療科17科を1週間単位で回っていきます。そういったかなり詰め込まれた実習期間の合間に、イレクティブ実習があります。
イレクティブとは「選択科目」の意味で、その名の通り、自分で好きな実習先を探してきて、認可されれば、世界中どこで臨床実習を行ってもよい期間で8週間用意されています。

精神科イレクティブ
私はイレクティブの8週間のうち、4週間を将来志望する精神科で過ごすことを選びました。
京都大学医学部附属病院での精神科イレクティブでは、主治医団に混じって入院中の患者さんの経過を追っていく実習以外にも、自分の興味に従って自由に内容を組み立てることができました。
派遣勤務への同行
当日は早朝に烏丸駅で待ち合わせて、京都から1時間強かかる精神科医不在の市中病院へ向かいました。
到着すると、先生は入院中の譫妄(せんもう)やひどい不眠の患者さんのコンサルテーションを各科から受け、これまでのカルテ、特に夜間の看護師さんの観察記録をチェックし、見立てをしたうえで、患者さんと医療従事者の話に耳を傾け、対話を通して問題の全体像把握に努められていました。
その後、専門家として向精神薬を調整し、カルテに医療者向けのアドバイスを記載されていました。

同行で得たこと
この日同行したことで、精神科専門の医師が外部から各科に関わることで、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に寄与できる側面があるのだと知り、将来の働き方の視野が広がりました。
そして、入院患者さんの精神面のケアのような特定の領域をアウトソーシングすることで、精神科医は「効率的に医療を行う新しい医師の働き方」を実践しているのではないだろうか、と考えるきっかけにもなりました。
手厚い実習環境
この他にも、研究についてお聞きしたら、京大精神科で行われている脳画像研究の最先端をご紹介いただけたり、発達障害の知能テストを見学できたり、有志が集まって行われる精神病理サークルに参加できたりと、主体性を尊重してくれる実習に大変満足な4週間でした。
実習を終えて
精神科医というと「閉鎖病棟に籠って1日中精神障害者の相手をしている」というようなイメージがあるかもしれません。
確かに、病棟でお会いした統合失調症の患者さんからは毎回「イギリス皇室の娘です」とか「いつも日清製粉が守ってくれています」という血統妄想をお聞きしたりしました。しかし、今回の精神科コンサルテーションのように、医療における各科と精神科との接点はもっとたくさんあるのだろうと想像されます。
この接点の模索も含めて、精神科はどこまでも可能性が広がっている診療科であると実感し、ますます興味が湧いた4週間でした。

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