医学部生のポリクリ(臨床実習)レポート 京大附属病院「糖尿病・内分泌・栄養内科」
京都大学 S.Iさん
大きな衝撃を受けた臨床実習
2013年の9月にお世話になった、京都大学医学部附属病院の糖尿病・内分泌・栄養内科での臨床実習についてレポートします。
この診療科での実習が印象的だったのは、実習自体の質が非常に高かったため、そして、相性のよい患者さんと巡り合い、大きな衝撃を受けたためです。
Aさんとの出会い
私が受け持たせていただいた患者さん(Aさん)は、原因不明の血管炎に対して、ステロイドを内服して治療をしていました。Aさんはステロイドの副作用のため、もともとあった糖尿病が悪化し、そのコントロール目的での入院でした。
原因不明の血管炎で入院期間が長く、大学病院にも慣れておられて、われわれ臨床実習生にもとても愛想よく接してくださる方でした。
Aさんとは3週間のポリクリ期間中に毎日30分以上話し込むほど親しくなり、言うまでもなく今までで最もじっくり向き合わせていただいた患者さんでした。

このような交流もあって、「自分は急性疾患をぱっと治していくよりも、慢性疾患をじっくり治していく方が向いているのではないか」と感じるようになりましたし、「患者さんとゆっくり話をできる分野で働きたい」とも思うようになりました。
自分の適性を自覚するきっかけとなった患者さんと出会えて、素晴らしい体験となりました。
電話で背筋が凍る
そういった満たされた気分を味わい、最後の日には患者さんから手紙まで貰い、糖尿病・内分泌・栄養内科を去った数週間後、整形外科をローテーションしているときでした。病院のICT(infection control team, 感染制御部)から私のPHSに不吉な電話が......。
「糖尿病・内分泌・栄養内科でAさんを担当されていましたよね? Aさんが結核を発症し、あなたは濃厚接触が疑われるため、後日、採血に来てください。」

一瞬、背筋が凍りました。まさか、自分が受け持った患者さんから結核が出るとは。
同時に、「自分も感染しているかもしれない」と不安にもなりました。電子カルテでAさんの状態を見てみると、「(排菌が疑われる)空洞病変が急性に発生した」と記載があり、さらに緊張が高まりました。
しかし、その日のうちにきちんと論文やガイドラインを調べると、感染率は低く3ヵ月後の検査で陰性であれば大丈夫だとわかりました。
医師としての覚悟を持つ
「医師になり、さまざまな人と接していくということは、常に感染の危険をはらんでいるのだと肝に銘じるべきだ」と痛感しましたし、たとえ毎日じっくりお会いしてきちんと診ていたとしても、不測の事態は起こりえるのだ、と身をもって体験しました。
また、実習生として非常にお世話になった患者さんがそのような奇禍に遭われることはやはり悲しいことで、「これからの人生の中でもこんなことを何度か経験することになるのだろうか」と思うと、もっと医師の覚悟というものを自覚しなければならない、と考えさせられた臨床実習でした。

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