医師国家試験受験レポート
愛媛大学 Y.Kさん
今回は医師国家試験についてお話しします。
医師国家試験とは
実施時期
医師国家試験は毎年2月10日頃の土日に2日間に渡って行われます。私は2021年2月6日・7日に受験しました。共通テストでは、体調不良などで欠席した場合に追試験がありますが、国家試験に追試験はありません。
受験資格
受験資格があるのは、日本の大学の医学科を卒業した人、卒業見込みの人、また海外の医学校を卒業した人などです。そのため、たとえ6回生になれたとしても、各大学の卒業試験に合格しなければ国家試験を受験することはできません(卒業試験がない大学もいくつかあります)。
受験会場
受験会場は全国で12ヶ所しかなく、基本的には最寄りの会場で受けることになります。
受験者数
受験者数は近年1万人前後で、合格率は例年90%前後となっています。「90%も合格するなら簡単じゃないか!」と思われるかもしれません。しかし、大学の医学科に合格して勉強に励み、さらに卒業試験に合格した人たちの中の90%なので、全体としてのレベルは高く、なかなか厳しい試験となっています。
試験問題
試験は1日3ブロック、2日間でA〜Fの合計6ブロックに分かれています。問題数は計400問で、大きく分けて必修問題・一般問題・臨床問題の3つのタイプの問題が出題されます。基本的には1問1点ですが、必修の臨床問題のみ1問3点で採点されます。
必修問題は医師として必ず知っておくべき知識や倫理観などに関する問題です。B、Dブロックの計100問が必修問題で、80%以上の点数を取らなければ不合格となる、絶対基準が定められています。
一般問題はクイズ形式のような短い問題で、臨床問題は症例文が書かれており、それを読んだ上での対応や知識などを問う問題です。一般・臨床問題に関しては、相対評価により合格基準が決まります。そのため、毎年受験者数や難易度によって合格ラインが変わってくるのが特徴的で、例年70%前後がボーダーとなっています。
その他に、医師として行ってはならない行為や、患者に害を及ぼしてしまう行為などが禁忌選択肢として設定されており、それを4つ以上選んでしまうと、たとえどれだけ合計点が取れていても不合格となってしまいます。これらすべての基準を満たすと、医師国家試験に合格することができます。
私が行った医師国家試験対策
医師国家試験対策については、私は予備校の映像授業を受講し、ひたすら過去問を解いていました。大学受験と同じように複数の予備校があり、好みの予備校の授業を受講するのが一般的になっています。私は5回生の春頃から受講を始めましたが、最近は低学年から受講する人が増えてきており、受験者のレベルがとても上がってきているようです。
他には、模試が各予備校から販売されており、それも受験しました。これも共通テストの模試と同じように本番形式の問題で、全国順位や偏差値なども分かります。模試の結果を参考にしながら苦手分野を強化していく点においても、大学受験ととても似ていると感じました。
私の通っていた大学では6回生用に勉強部屋の建物があり、約10人に一部屋でデスクを並べてあり、勉強に集中できる環境が用意されています。例年であればそこで友人と励まし合いながら合格をめざすのですが、2020年度は新型コロナウイルスの影響で利用することができず、1人で勉強しなければならない環境でしたので、大変だったと感じました。
試験当日
当日の会場の雰囲気は、とても緊張感が漂っていました。友人の中には直前1週間はほとんど寝られなかった人や、毎晩泣いていた人などもいて、メンタルの管理がとても大切な試験だと感じました。私自身も就職先が決まっていることなどのプレッシャーが大きく、大学受験のときよりも緊張していたと思います。試験時間も朝から晩までと長く、体力勝負なところもありました。
試験が終わってからは各予備校の採点システムに自分の解答を入力すると、解答予想と照らし合わせて自分の点数が表示され、全国データから一般・臨床問題の合格基準予想が算出されるシステムがあります。正式な合格発表が出るのは3月中旬なので、その合格基準予想を見ながら自分が合格できているかの目安にして約1カ月を過ごすことになります。3月中旬の合格発表後に医籍登録をして、やっと医師としての第一歩を踏み出すことができました。
医師になるまでには長い道のりがあり、この記事を読むと「大学受験が終わっても同じような勉強をまたしなければならないのか…」と思うかもしれません。しかし、確かに勉強は大変でしたが、振り返ってみるととても楽しいことばかりの大学生活だったなと思います。明るい未来を信じて、夢に向かって頑張ってください。
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