奨学金・教育ローン


STEP3 奨学金・教育ローン
STEP1・2で見てきたように、大学生1人にかかるお金は相当な額になります。場合によっては、家庭の経済的負担を軽くする奨学金や教育ローンなどを上手に利用したいものです。
奨学金制度
日本学生支援機構奨学金
奨学金には「貸与型」と「給付型」があります。貸与型はお子さん本人が大学卒業後に返還する「借りる」奨学金、給付型は返還義務のない奨学金です。
日本学生支援機構の貸与奨学金は奨学金制度のなかでは最も利用者が多く、大学生の3人に1人が利用しています。貸与奨学金には、第一種(無利子)と第二種(有利子)があり【表1】いずれも学業成績と家庭の経済状況の基準を満たすことが採用の条件となっており、設定された貸与月額から希望する金額を選択できます。
【表1】日本学生支援機構 貸与奨学金(2022年度進学予定者<予約採用>)
第一種奨学金 | 第二種奨学金 | ||||
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利子 | 無 | 有(年3.0%上限) | |||
学力基準 | 高等学校等における申込時までの 全履修科目の成績が3.5以上 ※経済的に極めて修学が困難な場合は 学校から推薦される者 |
高等学校等における申込時までの 全履修科目の成績が平均水準以上である等 |
|||
家計基準 (年間の収入金額) |
747万円 | 1,100万円 | |||
貸与月額 | 国公立大 | 私立大 | 20,000円~120,000円 (10,000円単位) |
||
自宅通学 | 自宅外通学 | 自宅通学 | 自宅外通学 | ||
45,000円 | 51,000円 | 54,000円 | 64,000円 | ||
50,000円 | ※私立大学の医・歯・薬・獣医学課程については希望により下記の貸与月額を選択できる 医・歯学課程 160,000円 薬・獣医学課程 140,000円 |
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40,000円 | 40,000円 | 40,000円 | |||
30,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 | ||
20,000円 | 20,000円 | 20,000円 | 20,000円 |
- ※第二種奨学金は、在学中は無利子、卒業後は有利子で年3%を上限とする
- ※家計基準は4人世帯で生計維持者が給与所得者(1人)の場合
- ※この他に「入学時特別増額貸与奨学金制度」あり
対象は、第一種奨学金または第二種奨学金を希望する者のうち、規定の貸与条件に該当する者
希望により奨学金の初回振込時に10万円~50万円(10万円単位)貸与される(利子有)
第一種と第二種はあわせて貸与を受けることも可能ですが、卒業後にお子さん本人が返還することになるため、必要な金額はよく検討しておきましょう。いくら借りられるか、また、いくら返すことになるのかは、日本学生支援機構のホームページ「奨学金貸与・返還シミュレーション」を使って試算できます。
給付奨学金は高等教育の修学支援新制度のひとつとして支給される奨学金です【表2】。学力基準と家計基準それぞれの要件を満たし、進学を希望している学校が国の確認を受けた対象校であることが必要です。お子さんが制度の対象となるか、どれくらいの支援が受けられるかを、日本学生支援機構のホームページ「進学資金シミュレーター」から確認してみてはいかがでしょうか。
奨学金の募集は進学の前年に奨学金を予約する「予約採用制度」と、大学進学後に申し込む「在学採用制度」があります。予約採用の場合、高校を通じて申し込みます。すでに卒業している場合でも進学前であれば、卒業後2年以内は出身高校を通じて予約申し込みが可能です。募集時期は学校ごとに違うので、希望する場合は高校の先生へ早めに相談するとよいでしょう。
【表2】日本学生支援機構 給付奨学金(2022年度進学予定者<予約採用>)
学力基準 | 高等学校等における全履修科目の成績が3.5以上 または学修意欲を有すること ※学修意欲の確認は高等学校等において、 面談の実施またはレポートの提出等により行う |
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家計基準 (年間の収入金額) |
収入基準 | 第Ⅰ区分 | 271万円 | |
第Ⅱ区分 | 303万円 | |||
第Ⅲ区分 | 378万円 | |||
資産基準 | 1,250万円 | |||
支給月額 | 支援区分 | 自宅通学 | 自宅外通学 | |
国公立大 | 第Ⅰ区分 | 29,200円 | 66,700円 | |
第Ⅱ区分 | 19,500円 | 44,500円 | ||
第Ⅲ区分 | 9,800円 | 22,300円 | ||
私立大 | 第Ⅰ区分 | 38,300円 | 75,800円 | |
第Ⅱ区分 | 25,600円 | 50,600円 | ||
第Ⅲ区分 | 12,800円 | 25,300円 |
- ※家計基準は4人世帯で生計維持者が給与所得者(1人)の場合
- ※給付奨学金の支給対象者は、収入に応じて授業料・入学金の減免も同時に受けることができる
- ●日本学生支援機構
その他の奨学金制度
都道府県や市町村など地方自治体でも多くの奨学金制度が設けられています。ただし、対象はその奨学金団体所在地に居住する者、またはその子弟に限られることがほとんどです。
募集人数や支給金額、給付型か貸与型かは、各団体によって異なり、日本学生支援機構など他の奨学金との併用が認められないケースもあります。希望する場合は、なるべく早い時期に在住地区の教育委員会等に問い合わせましょう。
また、大学には独自の奨学金制度を持つところも多くあります。制度の内容はさまざまで、家計基準や成績基準を満たす者への奨学金のほか、取得した資格に応じるものや、兄弟姉妹が同時に在籍している場合の同窓生割引、災害や新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した学生への支援などがあります。
給費・特待生入試
医学部医学科の場合は、一般選抜の受験生の中から成績優秀者を特待生・奨学生として採用する場合や、地域枠入試の合格者を対象とした場合が多くみられます。この他、学校推薦型選抜(推薦入試)として実施されることもあります。内容は、
- 入学金の全額、あるいは一部を免除
- 授業料の全額、あるいは一部を免除
というケースが一般的です。
対象となる期間や範囲、年次での免除額が異なる場合もありますので、詳細は各大学のホームページで必ず確認してください。
教育ローンの利用
進学・教育ローンは保護者が融資を受け、返済します。一般的なローンと比較すると、低い金利が設定されています。なかでも国の資金で運営されている「国の教育ローン」(日本政策金融公庫)は、低金利で融資条件も比較的緩やかなため人気が高いようです。受験費用は合格前に、入学金や授業料は合格後に借入れが可能です。一定の条件を満たしていれば融資限度額は学生1人につき450万円までです。インターネットや全国の日本政策金融公庫、銀行、信用金庫などで申し込むことができます。
このほか民間金融機関でも各種の教育ローンが設置されています。返済方法も多様で、卒業後に子どもが返済を引き継ぐ、親子リレー返済などもあります。大学によっては独自の貸与・融資制度を設けているところもあります。
いずれにしても、早めに資料を取り寄せ、窓口で相談するなど、無理なく上手に利用するとよいでしょう。
国の教育ローン(日本政策金融公庫)
<教育一般貸付>
- 利用条件
- 高校、大学・短大、大学院、専修・各種学校などに入学・在学する生徒・学生の保護者で、世帯年収(所得)が次表の金額以内の者
※()内の金額は事業所得者の場合の所得上限金額
子どもの人数 | 世帯年収(所得)の上限額 | |
---|---|---|
1人 | 790万円 | (600万円) |
2人 | 890万円 | (690万円) |
3人 | 990万円 | (790万円) |
4人 | 1,090万円 | (890万円) |
5人 | 1,190万円 | (990万円) |
- 融資額
- (1)自宅外通学
(2)修業年限5年以上の大学(昼間部)
(3)大学院
(4)海外留学(修業年限3ヶ月以上の外国教育施設に留学する場合)
上記いずれかの資金として利用する場合は、生徒・学生1人につき450万円以内
上記以外の場合、生徒・学生1人につき350万円以内
- 返済期間
- 15年以内(母子家庭、父子家庭、交通遺児家庭、世帯年収200万円(所得132万円)以内の場合、または子ども3人以上の世帯かつ世帯年収500万円(所得356万円)以内の場合は18年以内)
- 金利
- 年1.65%(令和3年11月1日現在)
- 取扱窓口
- 日本政策金融公庫 国民生活事業の各支店、最寄の金融機関(銀行、信用金庫など)
- 問い合わせ先
- 教育ローンコールセンター TEL:0570-008656
ろうきんの教育ローン(労働金庫)
- ※以下は中央労働金庫の例。詳細は各都道府県労働金庫によって異なりますので、お問い合わせください。
- 利用条件
- 中央労働金庫に出資し加入している労働組合などの組合員、中央労働金庫に出資し加入している生活協同組合の組合員および同一生計の家族、または自宅や勤め先が関東1都7県にある者
- 融資額
- 2,000万円以内
- 返済期間
- 最長15年。融資期間の範囲内で元金据置期間(最長5年)の設定が可能
- 利率
- 固定金利型(10年以内の借入れ) 年2.4~3.4%(令和4年4月28日融資実行分まで)
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