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医学部合格者の過去問活用法 私立大学対策
医学部の過去問演習の割合と対策法

金 智順 さん
慶應義塾大学
東京都 東京朝鮮中高級学校 出身
2018年度 河合塾 麹町校 在籍 大学受験科

中国春秋戦国時代の有名な思想家、孫子は「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という有名な言葉を残しました。本来は軍事の面で使われたこの言葉は、受験にも通じる部分があります。受験生は普段の模試や参考書を解く過程で、自分のレベルを測ることができます。つまり「己を知れる」わけです。
しかし、これだけでは受験に勝つことは難しく、「敵」すなわち志望校の出題形式を知ることが大切です。そのための最も有効な手段が『過去問対策』です。

今回は過去問をテーマに、いつごろから何年分を解くのかなど、気になる情報を紹介していきたいと思います(2019年度入試を受験)。

過去問演習の割合と対策法

私は国公立大学志望で、私立大学も併願で受けたタイプの受験生でしたので、過去問演習の割合でいうとセンター試験(※)30%、国立大学50%、私立大学20%という感じでした。以下、時期別に詳しく書いていきます。 ※大学入試センター試験は、2021年1月実施より大学入学共通テストになります。

センター試験対策

まず、センター試験のうち苦手であった国語と数学の演習は10月から始めました。河合塾の予習・復習もあったので、2日に1回、1年分解くというペースで、国語と数学は交互に取り組んでいました。マーク試験は知識に加え、「慣れ」の要素も多い分、解けば解くほど点数があがりました。

取り組み方としては、時間は本試験と同じように設定し、絶対オーバーしない、早く終わったら切り上げて答え合わせをするという方法で行いました。こうすると勉強時間を無駄なく使うことができました。

センター試験の過去問題集は分厚く持ち運びが不便なので、1年分ずつカッターで裁断し、その日に取り組む年度のものだけ持ち運ぶようにしていました。また、苦手科目の数学は後日に再度取り組もうと考えていたので取り組んだ日の日付と点数、かかった時間を記入するようにして比較できるようにしていました。

つぎに、11月から12月中旬までは国公立大学二次対策の過去問演習に取り組みました。そして12月末からセンター試験までは、センターの問題だけを解き、センター試験直後からは私立大学対策、私立大受験後は再び国公立大学の演習をしました。具体的な対策方法を国公立大学、私立大学別に紹介します。

国立大学対策

国立大学は第一志望の大学の問題に加え、出題傾向の似ている大学の問題も解きました。具体的には第一志望だった新潟大学の問題に加え、神戸大学の問題にも取り組んでいました。最終的に神戸大学への受験にシフトができたのも、この頃から過去問に触れていたからだと思います。

いくつかの大学の過去問を見てみると、自分が取り組み易いタイプの問題かそうでないかというのが分かると思います。まだ志望校を決めかねている方は、過去問から選ぶのもひとつの手かもしれません。

年数は過去問集に載っている5年分を解きました。苦手科目であった数学だけは、間違えた問題を2回、3回解きなおせるようにノートにまとめるようにしました。解答・解説を読んで理解したふりになるのではなく、一度自分の言葉で解きなおすことで身についたと思います。

私立大学対策

私立大入試は多くの大学を受験することになったこともあり、各大学2年ずつは必ず解き、それ以前の問題は目を通すだけか、気になる問題があったときだけ解くようにしました。このようにした理由は、なんといっても対策時間が少なかったからです。私立大学専願ではないうえ、私立大学の入試日程はぎっしり埋まっていたので、同時に多大学の対策を進める必要がありました。

私はセンター試験後に初めて私立大学の過去問に取り組んだため、私立大学対策で特に意識したのは出題傾向と自分が必ず解ける問題を見つけ完答するということでした。一般的に国公立大学の問題に比べ私立大学の問題は完答が難しいとされています。そこでできる限り減点をなくすために「確実に解ける問題を解く」というのを意識しました。さらに、私立大学の二次試験では小論文、面接が課されるので河合塾の塾生用冊子(※)を用い、出題傾向の把握をしました。 ※河合塾 医進塾「医学部入試情報」にも掲載予定です。

受験大学

  • 慶應義塾大学 (英語・数学・化学・生物・小論文・面接)
  • 国際医療福祉大学 (英語・数学・化学・生物・小論文・面接)
  • 昭和大学 (英語・数学・化学・生物・小論文・面接)
  • 東京女子医科大学 (英語・数学・化学・生物・小論文・適正テスト・面接)
  • 日本医科大学 (英語・数学・化学・生物・小論文・面接)
  • 東京慈恵会医科大学 (英語・数学・化学・生物・小論文・面接)
  • 順天堂大学 (英語・数学・化学・生物・小論文・面接)

各大学の出題傾向と対策

以下、各大学の傾向と行った対策を紹介します(2019年度入試を受験)。出題傾向は変更になる場合があります。私の見解ですので過去問演習の参考としてご覧ください。

  • 慶應義塾大学

たとえば、慶應義塾大学の場合、数学の第2問が毎年「確率漸化式」の問題が出題されていました。慶應義塾大学の数学の試験は非常にレベルが高いことでも有名で、この第2問だけは落とさないようにと多くの学生が取り組むようです(入学後に同期生から聞いた話です)。
私は特に数学が苦手でしたので、0点にはならないようにこの第2問だけは取ろうと河合塾テキスト中から類題を探して解いたりしました。

また、英語の場合いわゆるTF問題(true or fault)ではなく、「正しい記述にはA、正しくない記述にはB、文章中に書かれていない記述にはC」という内容把握問題が出るのも慶應義塾大学の特徴でした。普段は「選択肢の文章が正しいかどうか」を意識して英文を読むことが多かったのですが、慶應義塾大学の試験前は「文章中に書かれていか」を意識して各選択肢に対してしっかりと根拠を提示できるように準備しました。

  • 国際医療福祉大学
英語:
選択式の問題と英作文。英語のレベルが高め。いわゆる難関語彙もマスターする必要があります。文法、長文、英作文からなりますが、文法問題は迷ってしまう選択肢をうまく配置する傾向にあるため、普段から文法事項の徹底的な理解が必要です。また、長文に時間を割きたいため、文法で下手に悩んで時間を使いすぎない方がよく、8割解答くらいを目標にするのがよいと思います。長文は語彙、文構造ともに難関レベルで出題されます。問題数が多いと感じられますが、焦らず時間内に確実に解ける量をこなすという意識が大切です。
数学:
センター試験の難化版という印象。センター試験ほどではありませんが、ゆるく誘導のついたマーク式問題なので、確実に解いていくことが大切です。とはいうものの、レベルは高く途中つまずくこともあり、複雑な計算式をこなす必要がある問題もあるため、普段から国公立大学二次レベルの数学問題を勉強することが大切です。
化学:
知識を問う問題が多くみられるため、普段から高校化学のレベルにプラスアルファで勉強することが大切です。
生物:
実験考察系の問題が多く、初見の問題に対して知識を総動員する必要があるため、普段から分野別のミクロな勉強に加え分野を乗り越えたマクロな勉強を進めることが大切です。
  • 昭和大学
英語:
全6問中1~5問は語彙、文法の知識を問う問題で、特に第4問の誤りを選ぶ問題は難度の高い問題になっているため、徹底的な文法事項の理解を必要とします。第6問は長文読解問題ですが、本文の空欄にあてはまる語句を選ぶ問題は前後の文章の流れをつかむ必要があり、上から下に読んでいく長文読解法に加え、下から上に読み返すという方法もマスターする必要があります。
数学:
典型的な入試頻出問題にひとひねり加わった問題の出題が目立ちます。ひとひねりは私立大学特有の煩雑な式につながることが多く、この煩雑さをいかに自分なりにシンプルに解いていくかが大切です。数学が得意な方以外は完答を狙うのが困難なため、解ける部分まで解くというのを意識し、途中点をしっかり取れるようにするのがよいと思います。
化学:
生化学に近い問題が出される傾向があります。化学の有機分野でも特に、タンパク質や酵素、塩基などの分野をもれることなく学んでおくことが必要です。
生物:
最新の研究の実験を題材としたような問題がよく出題されます。生物の知識を総動員する必要のある考察系の問題です。
  • 東京女子医科大学

英語、数学、化学、生物すべてにおいて、他の私立大学に比べてレベルは易しめです。そのため「高得点の勝負」になるのが注意する点。周りの受験生が確実に正解するであろう問題をちょっとした凡ミスで落としてしまうと、それが不合格に直結してしまうような問題レベルの設定になっていると思います。

  • 日本医科大学
英語:
大問一つは必ず語彙問題が出題されます。このレベルが非常に高く、普段から語彙を意識的に学ばなければ攻略できるものではありません。他の長文問題や英作問題は医学部の標準レベルだと思います。
数学:
他の医学部と比べても最難級のレベルです。空欄を埋めるタイプの問題と記述タイプの問題に大別されますが、記述タイプには例年完答できるレベルの問題が一題は出題されます。絶対この一題を落としてはいけません。また、空欄を埋めるタイプの問題は途中まではスラスラと進むため、途中まででも分かる範囲で解くことが大切です。
化学:
レベルとしては医学部標準レベルで、問題もいわゆる頻出テーマが題材となることが多いです。数学などに比べると得点源になる科目です。理論、無機、有機総合的に力を注ぐ必要があります。
生物:
選択問題が多いですが、選択肢が多く提示される傾向があるため、消去法では対応しきれません。能動的に答えを選べるように知識を固めることが大切です。考察は標準的なレベルなため、高得点を狙うためには前述の知識問題を落とさないことが大切です。人間の体に関わる問題(ホルモン、細胞間の働き、遺伝など)が出題される傾向にあります。
  • 東京慈恵会医科大学
英語:
選択式でレベル、分量も標準的。
数学:
難度が高め。半分くらいまでは確実にとらなくてはいけないというレベルの問題。
化学:
日本医科大学に似ていると思います。
生物:
昭和大学のように、初見の実験データから考察する問題が多く、一見難度が高そうに思えますが、高校の生物知識を総動員することで解くことが可能なレベルです。知識問題も少し問われるため、知識の穴がないように準備する必要があります。
  • 順天堂大学

英、数、理科で特別な特徴はないですが、レベルは高いため完答よりは、より一つでも〇をもらえるように丁寧に解くことが大切。小論文はビジュアル式で特徴的です!!

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